宮城県の感染急拡大について

             東北大学大学院理学研究科 本堂 毅

宮城県では新型コロナウイルスの感染が急拡大しています.

NHKのデータを用いて,6月20日から7月14日までのデータをグラフにしました.その結果,宮城県では3週間で新規感染者が約7倍の割合で増加していることが分かりました.東京都では3週間で約2倍の増加ですから,そのさらに3.5倍です.宮城県では感染の急拡大が起こっています.グラフの縦軸が1日あたりの新規感染者数,横軸が6月20日を1日目としたときの経過日数です.

このまま増加すると7月中に新規感染者数は100人を超え,8月中には1,000人を越えることになります.後者は東京都の人口に換算すると6,000人程度に相当します.

テレビや新聞などでは,グラフの縦軸が100, 200, 300, 400 というような形になっています.しかし,感染症の増え方を適切に理解するためには縦軸は1, 10, 100, 1000, 10000 が等間隔で並ぶような形式にする必要があります.感染症は,自然な状態では倍,倍,倍・・・と増えていくからです(これを指数関数と呼びます).感染症をうまく抑制するには,新規感染者数がまだ少ない段階で適切な対策を取る必要があるのですが,そのことも,このようなグラフを使うことで見えてきます.感染者数がStage 3 や 4 になってないから,まだ感染者数が増えても問題ない,という考え方を取る人が未だに後を絶ちませんが,これは感染症対策のあり方としては間違いなのです.Stage 3 や 4 になる前に増えてしまった感染者が,後々,より深刻な自体を招くからです.「覆水盆に返らず」と同じです.

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