新刊「科学の不定性と社会 ― 現代の科学リテラシー」

信山社 2017年12月10日発売

◇科学を「開く」!◇

~~~「科学」を過信せず、しかし科学を活かす社会とは?~~~

科学は頼りになりますが、なんでも解決してくれるわけではありません。ときどき暴走もしてそうです。

現代社会の安定と繁栄の根底に,「科学に関する専門知」が重要な役割を果たしてきたこと,いることに疑う余地はありません.しかしながら,「3.11」後の現在,そのあり方や用いられ方に対し様々な批判や疑問の目が向けられていることも,また確かです.では,これから先,私たちは科学的な専門知とどのように向き合ってゆけばよいのでしょうか.これは現代社会が直面する大きな課題です.本書は,この課題に「科学の多様な不定性と意思決定」という観点からアプローチします.




はじめに………… 本堂毅


◇◆第Ⅰ部◆◇ 科学の不定性に気づく


◆第1章◆ 科学の卓越性と不定性…………平田光司…5

Ⅰ はじめに(5)
Ⅱ 科学の得意分野(8)
Ⅲ 現実の中の科学(12)
Ⅳ 不定性を避けられない科学(17)

◆第2章◆ 科学と防災―― 地震学を例に…………… 纐纈一起…21

Ⅰ はじめに(21)
Ⅱ 東日本大震災(22)
Ⅲ おわりに(29)

◆第3章◆“メタボ”の誕生―― 医学的診断の社会性…………… 辻内琢也…30

Ⅰ はじめに(30)
Ⅱ EBM が提示する「医学の中の科学」(30)
Ⅲ メタボリックシンドロームの診断基準をめぐる疑問(32)
Ⅳ 3層の医学から見た「メタボ」(42)
Ⅴ 狭義のEBM を超え,医学・医療を理解する(48)
Ⅵ おわりに(50)

◆第4章◆ 犯罪捜査と科学―― DNA 型鑑定をめぐる諸課題…………… 鈴木舞…52

Ⅰ はじめに(52)
Ⅱ 科学鑑定を行う側の問題(53)
Ⅲ 科学鑑定を利用する側の問題(61)
Ⅳ おわりに(66)

◆第5章◆ 科学と裁判…………渡辺千原…68

Ⅰ はじめに―― 科学が裁判に現れる時(68)
Ⅱ 科学技術の危険を避ける―― リスク裁判(70)
Ⅲ 科学技術による被害を救済する(71)
Ⅳ 科学的証拠で事実を解明する(74)
Ⅴ 裁判の中で行われていること(77)
Ⅵ 裁判で科学を扱うということ(82)

◆第6章◆ 家族概念の科学と民法…………水野紀子…87

Ⅰ 民法と親子関係(87)
Ⅱ 生殖補助医療の登場(94)



◇◆第Ⅱ部◆◇ 科学の不定性と向き合う


◆第7章◆「科学の不定性」に気づき,向き合うとは…… 中島貴子…107

Ⅰ はじめに(107)
Ⅱ 「科学の不定性」を捉える概念枠組(107)
Ⅲ 「科学の不定性」から浮かび上がる課題(117)
Ⅳ 気づきの先にあるもの(120)

◆第8章◆ 理科教育における不定性の取り扱いの可能性………… 笠潤平…122

Ⅰ はじめに――3.11と理科教育(122)
Ⅱ 理科教育と不定性(122)
Ⅲ 英国の先例――2006年GCSE 改革(123)
Ⅳ 『21世紀科学・GCSE 科学』コース(125)
Ⅴ 『21世紀科学・GCSE 科学』のトピック例(127)
Ⅵ モジュールP3「放射性廃棄物」の授業の流れ(129)
Ⅶ 英国の改革の背景(131)
Ⅷ 批判と反動(132)
Ⅸ 日本での試み(133)
Ⅹ おわりに(134)

◆第9章◆ 教養教育への東北大学の挑戦―― 実験を通して学ぶ科学の営み………… 関根勉…136

Ⅰ はじめに(136)
Ⅱ 東北大学での新たな理科実験授業
(自然科学総合実験)の立ち上げ(137)
Ⅲ 文科系のための自然科学総合実験(138)
Ⅳ これからの教養教育(142)

◆第10章◆ 法教育における科学リテラシーの展望と課題………… 米村滋人…144

Ⅰ 科学教育と法教育(144)
Ⅱ 現在の法教育の概要(144)
Ⅲ 法教育の意義と課題(150)
Ⅳ 科学リテラシーと法教育(155)

◆第11章◆ 学習,コミュニケーション,意思決定のための不定性評価の新手法………… 吉澤剛…159

Ⅰ はじめに(159)
Ⅱ 多基準マッピング(161)
Ⅲ 具体的な事例(166)
Ⅳ おわりに(168)

◆第12章◆ 科学の不定性と市民参加…………尾内隆之…169

Ⅰ はじめに(169)
Ⅱ 科学と社会―― 乖離から「対話」へ(170)
Ⅲ 市民が関わるべき理由,関わり得る理由(174)
Ⅳ 「対抗」としての市民参加(179)
Ⅴ 「不定性」に向き合う市民社会へ(183)

・おわりに………… 尾内隆之…185

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■ Appendix 1 オーストラリアでのコンカレント・エビデンスの経験から/ピーター・マクレラン(本堂毅訳)…(190)
■ Appendix 2 「不定性マトリックス」の舞台裏/アンディ・スターリング(吉澤剛訳) …(192)
■ Appendix 3 Qマッピング/吉澤剛…(199)

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・あとがき…… 平田光司



【執筆者紹介】(掲載順)
本堂毅(ほんどう つよし) 東北大学大学院理学研究科准教授
平田光司(ひらた こうじ) 高エネルギー加速器研究機構特別教授
纐纈一起(こうけつ かずき) 東京大学地震研究所教授
辻内琢也(つじうち たくや) 早稲田大学人間科学学術院教授・医師
鈴木舞(すずき まい) 東京大学地震研究所特任研究員
渡辺千原(わたなべ ちはら) 立命館大学法学部教授
水野紀子(みずの のりこ) 東北大学大学院法学研究科教授
中島貴子(なかじま たかこ) 立教大学兼任講師
笠潤平(りゅう じゅんぺい) 香川大学教育学部教授
関根勉(せきね つとむ) 東北大学高度教養教育・学生支援機構教授
米村滋人(よねむら しげと) 東京大学大学院法学政治学研究科准教授
吉澤剛(よしざわ ごう) 大阪大学大学院医学系研究科准教授
尾内隆之(おない たかゆき) 流通経済大学法学部准教授
ピーター・マクレラン(Peter McClellan) オーストラリア・ニューサウスウェールズ州最高裁判所判事
アンディ・スターリング(Andy Stirling) 英国・サセックス大学科学政策研究所教授

出版社Web
https://www.shinzansha.co.jp/book/b331534.html


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科学の多様な不定性と意思決定:当事者性から考えるトランスサイエンス
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